補助金・助成金

【第8回公募】省力化投資補助金(一般型)とは?
補助額・対象経費・申請スケジュールをやさしく解説

2026年8月23日時点の公式情報にもとづく、中小企業向けの実務整理です。

「人が採れない。募集をかけても応募が来ない」「現場は忙しいのに、手作業のままの工程がいくつも残っている」。こうしたお悩みをお持ちの中小企業経営者・個人事業主の皆様は多いのではないでしょうか。足りない人手を設備やシステムで補いたい、けれども数千万円の投資には踏み切れない。そこで候補に挙がるのが中小企業省力化投資補助金です。

ただ、この補助金には「カタログ注文型」と「一般型」の2つがあり、名前が似ているために混同されがちです。カタログに載っている製品を選んで導入するのがカタログ注文型、自社の現場に合わせて設計された設備・システムを導入するのが一般型で、申請の手間も審査の厳しさも違います。取り違えたまま準備を始めると、大きな回り道になります。

本記事の補助額・補助率・要件・スケジュールは、一般型 第8回公募の公募要領(2026年8月)および公式FAQ(第5回〜第8回版)にもとづいています。これらは公募回によって変わります(実際に第7回から第8回で重要な変更がありました)。申請を検討される際は、必ず事務局サイト(一般型 公式ページ)で最新の公募要領をご確認ください。

この記事でわかること

  • 一般型とは何か(カタログ注文型との違いと、対象になる投資の見分け方)
  • 補助上限額・補助率と、2つの特例
  • 対象になる事業者と、対象になる経費・ならない経費
  • 労働生産性・賃上げ・最低賃金の条件と、未達のときの返還
  • 第8回の主な変更点と、申請の流れ・スケジュール

中小企業省力化投資補助金(一般型)とは|カタログ注文型との違い

制度の目的と、対象になる投資

一般型は、人手不足に悩む中小企業等が、IoT・ロボット等のデジタル技術を活用した「専用設備」を導入する費用の一部を国が補助する制度です。中小企業庁の事業として、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が実施しています。

公募要領は制度の目的を、省力化投資を促進して付加価値額や生産性向上を図るとともに、賃上げにつなげることと定めています。「機械を買う補助金」ではありません。

対象設備は公募要領でオーダーメイド設備と定義されています。ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレータ(SIer)との連携などを通じて、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステムを指します。

ただし、汎用設備でも導入環境に応じて周辺機器・機器の数・搭載機能が変わる場合や、組み合わせて高い省力化効果や付加価値を生み出せる場合はオーダーメイド設備とみなされ、単に汎用設備を単体で導入する事業は対象外です。

自社の投資が対象になるか、この順で確かめる

上の記述を、自社の設備に当てはめる順序に置き換えると、次の分岐になります。

図1:カタログ注文型か一般型か、対象になるかの判定

載っている

載っていない

そのまま導入する

周辺機器・機器の数・搭載機能が
変わる/組み合わせて効果を高める

合わせて設計・組み合わせる

既製の汎用設備を
1台そのまま入れるだけ

その設備はカタログ注文型の
製品カタログに載っているか

その掲載製品を
そのまま導入するか

自社の作業工程やレイアウトに
合わせて設計・組み合わせるか

カタログ注文型で申請
(一般型では対象にならない)

一般型の対象になり得る

一般型の対象になり得る

対象外

下段の判定は、下の1〜4と同じ内容です。掲載製品をそのまま導入する計画が一般型の対象にならないことは、優先順位ではなく対象になるかどうかの要件です。

それぞれの分岐を言葉にすると、次のとおりです。

  1. その設備はカタログ注文型の製品カタログに載っているか。載っている製品をそのまま導入するのであれば、原則としてカタログ注文型で申請します。公募要領も、カタログ掲載製品をそのまま導入するのではなく、次の2に当たる場合に限って一般型の対象になると定めています。掲載製品をそのまま入れる計画は、一般型では対象になりません(優先順位の話ではなく、対象になるかどうかの要件です)
  2. 掲載製品でも、導入環境に応じて周辺機器・機器の数・搭載機能が変わるか。または汎用設備を複数組み合わせて高い省力化効果・付加価値を生む構成か。当てはまれば一般型の対象になり得ます
  3. カタログにない設備を、自社の作業工程やレイアウトに合わせて設計・組み合わせるか。当てはまれば一般型の対象になり得ます
  4. 既製の汎用設備を1台そのまま入れるだけか。これは対象外です

手作業が残る工程にロボット・搬送機・センサーと制御用システムを組み合わせ、自社の作業手順に合わせて設計する構成は1〜3の側、市販の汎用機を1台入れて既存の作業を置き換えるだけの構成は4の側です。定義が「機械装置やシステム」と並べているとおりシステムが中心の構成も範囲に入りますが、その場合も単価50万円(税抜)以上の設備投資を1つ以上含める必要があります(詳しくは対象経費の章で説明します)。

カタログ注文型との棲み分け

公募要領は冒頭で、一般型を検討する前にカタログ注文型の製品カタログを必ず確認するよう求めています。掲載製品はすでに国が省力化効果を認めた製品で、一般型はカタログ注文型より審査項目が多いためです。まずカタログを見て、そのまま入れて解決しないときに一般型、という順で検討すると回り道になりません。

公式FAQは、同じ補助対象経費に2つの型を併用することはできない(別の補助対象経費に対してであれば併用可能)としています。

なお、新製品の開発や新市場への進出が主目的の投資であれば、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の解説記事もあわせてお読みいただけます。

補助額・補助率と2つの特例【一覧表】

一般型では枠を選ぶ必要がなく、補助上限額は常勤従業員数で決まります。上限額が大きく変わるため、まず自社の人数を正確に数えるところからです。

常勤従業員数の数え方:ここでいう常勤従業員数とは、応募時の常勤従業員(中小企業基本法上の「常時使用する従業員」)で、公募要領は労働基準法第20条の「あらかじめ解雇の予告を必要とする者」と解しています。日々雇い入れられる者、2か月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者、試用期間中の者は含まれません。代表取締役や専従者等も常勤従業員には当てはまらず、含めていたことが判明した場合は採択取消等になることがあります。「パート」「アルバイト」という呼び方で線を引く定めはなく、この基準に当てはまるかどうかを1人ずつ見ていくことになります。
常勤従業員数補助上限額大幅賃上げ特例の適用時
5人以下750万円1,000万円
6〜20人1,500万円2,000万円
21〜50人3,000万円4,000万円
51〜100人5,000万円6,500万円
101人以上8,000万円1億円

図2:補助上限額は常勤従業員数で段が変わる

5人以下
通常750万円
大幅賃上げ特例1,000万円
6〜20人
通常1,500万円
大幅賃上げ特例2,000万円
21〜50人20人から21人で上限が2倍
通常3,000万円
大幅賃上げ特例4,000万円
51〜100人
通常5,000万円
大幅賃上げ特例6,500万円
101人以上
通常8,000万円
大幅賃上げ特例1億円

各区分の上段が通常の補助上限額、下段が大幅賃上げ特例を適用した場合です。棒の長さは1億円を100%とした比率で、金額は上表のとおりです。特例の要件と適用除外は下の「特例1」をご覧ください。

補助率は事業者の区分で変わります。

補助対象者補助率
中小企業1/2(最低賃金引き上げ特例の適用時は2/3)
小規模企業者・小規模事業者/再生事業者2/3

小規模企業者・小規模事業者とは、常勤従業員数が製造業その他・宿泊業・娯楽業では20人以下、卸売業・小売業・サービス業では5人以下の会社または個人事業主を指します。特定非営利活動法人・社会福祉法人・医療法人は、従業員20人以下の場合に2/3となります。なお小規模事業者が、採択後から補助事業実施期間終了までの間に小規模企業者・小規模事業者の定義から外れた場合は、補助率が2/3から1/2へ変更されます。

図3:2つの特例の比較(適用できるのはどちらか一方)

特例1|大幅賃上げ

何をする

1人当たり給与支給総額の年平均成長率を合計+6.0%以上(基本の+3.5%に+2.5%上乗せ)、かつ事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上にする計画を立てて達成

何が変わる

補助上限額が +250万〜+2,000万円
(従業員数区分による。図2の右側の段)

未達なら引き上げ分は返還。上限額に届かない投資・再生事業者・常勤従業員なしは適用不可

特例2|最低賃金引き上げ

何をする(過去の実績で判定)

2024年10月〜2025年9月に、地域別最低賃金以上〜2025年度改定額未満で雇用する従業員が全従業員の30%以上いる月が3か月以上ある(要件確認書を提出)

何が変わる

補助率が 1/2 → 2/3
(中小企業。もともと2/3の小規模企業者等は対象外)

小規模企業者・小規模事業者、再生事業者、常勤従業員なしは適用不可

特例1の適用除外に「最低賃金引き上げ特例を適用する事業者」が含まれるため、事実上、2つの特例は併用できません。詳しい条件は下の本文で説明します。

特例1:大幅賃上げに係る補助上限額引き上げ

基本要件に加えて、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を+3.5%にさらに+2.5%上乗せして合計+6.0%以上とし、事業場内最低賃金を事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準とする計画を立て、その取り組みを事業計画書に記載して達成する場合、上限額が従業員数に応じて250万円〜2,000万円引き上げられます(上表の右列)。ただし最低賃金引き上げ特例を適用する事業者・補助金額が上限額に達しない場合・再生事業者・常勤従業員がいない場合は引き上げ不可で、未達なら引き上げ分の返還を求められます。

特例2:最低賃金引き上げに係る補助率引き上げ

2024年10月から2025年9月までの間で、「当該期間における地域別最低賃金以上〜2025年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員数の30%以上である月が3か月以上ある事業者は、中小企業の補助率が1/2から2/3へ上がります。判定は過去の実績で行い、指定様式「地域別最低賃金引き上げに係る要件確認書」を提出します。小規模企業者・小規模事業者、再生事業者、常勤従業員がいない場合は引き上げ不可です。この特例を適用すると、基本要件③(事業場内最低賃金+30円以上)は適用されません

2つの特例は事実上併用できません:特例1の適用除外に「最低賃金引き上げに係る事業者」が挙げられているため、事実上、2つの特例を併用することはできません。上限額に届くほど投資額が大きいなら特例1、届かないなら特例2が有利になりやすいものの、最終的には投資額と補助率の組み合わせ次第です。自社の投資額を先に固めてから試算して比べると、判断を誤りにくくなります

対象者・対象経費|◯と×をはっきりさせる

対象になる事業者

対象は、応募申請時点で日本国内に法人登記等がされ、日本国内で事業を営み、かつ日本国内に本社と補助事業の実施場所を有する中小企業等で、個人事業主も含まれます。中小企業者(組合関連以外)は、業種ごとの資本金または常勤従業員数のいずれかが下表以下であることが要件です。

業種資本金常勤従業員数
製造業・建設業・運輸業/ソフトウェア業・情報処理サービス業/その他の業種3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く)5,000万円100人
小売業5,000万円50人

旅館業は5,000万円/200人、ゴム製品製造業(自動車・航空機用タイヤ及びチューブ製造業、工業用ベルト製造業を除く)は3億円/900人と別に定められています。

このほか、企業組合・事業協同組合などの組合関連、資本金10億円未満で従業員基準を満たす特定事業者の一部、要件を満たす特定非営利活動法人・社会福祉法人・歯科医業を営む医療法人も対象です。一方、上記に該当しない組合、財団法人・社団法人(公益・一般とも)、歯科医業を営むもの以外の医療法人、法人格のない任意団体は対象外と明記されています。

対象外の事業者も定められています。代表例は、みなし大企業、ものづくり補助金・事業再構築補助金・新事業進出補助金の交付決定を受けて補助金支払が完了していない事業者、応募申請日から過去3年間にこれら3補助金の交付決定を合計2回以上受けた事業者、第8回で加わった過去1年において労働関係法令違反により送検処分を受けた事業者などです。

対象になる経費/ならない経費

機械装置・システム構築費は必須で、必ず1つ以上、単価50万円(税抜)以上の機械装置等の設備投資を含める必要があります。

経費区分補助対象上限
機械装置・システム構築費必須区分としての上限なし(単価50万円以上の設備投資を1つ以上含む)
運搬費
技術導入費/知的財産権等関連経費各々 補助対象経費総額(税抜)の1/3
外注費/専門家経費各々 補助対象経費総額(税抜)の1/2(専門家経費は1日あたり5万円が上限)
クラウドサービス利用費

これに加えて、機械装置・システム構築費以外の経費は総額500万円(税抜)までという上限があり、区分ごとの割合をクリアしてもここで頭打ちになります。

経費補助対象補足
交付決定前に発生した経費×いかなる理由でも事前着手は認められない
船舶・航空機・車両及び運搬具×耐用年数省令上の区分で対象外
不動産の取得費/設置場所の整備工事・基礎工事×ビニールハウス・コンテナ等の簡易建物も対象外
自社の人件費・旅費・交際費×自社人員による社内システム開発の人件費も不可
既存システムのバージョンアップ・改修費原則対象外。新規に導入するシステムと連携するための改修費は対象
事務所の家賃・光熱水費・通信費×クラウドサービス利用費に含まれる付帯経費は除く
区分名ではなく中身で決まります:経費の可否は区分名ではなく、補助事業のために専ら使うか、証拠書類で必要性と金額の妥当性を示せるかで決まります。迷う経費は事務局または支援機関に確認しておくと安全です。

申請の条件|労働生産性・賃上げ・最低賃金

一般型では、以下をすべて満たす3〜5年の事業計画を策定することが求められます。

#基本要件内容
労働生産性事業計画期間において毎年、基準年度と比較して年平均成長率(CAGR)+4.0%以上向上させる。労働生産性=付加価値額÷労働者数で、「労働者数」は補助対象者の項に記載する従業員数に役員(個人事業主の場合は事業主および専従者)の人数を加えたもの
1人当たり給与支給総額事業計画期間終了時点で、基準年度と比較して年平均成長率+3.5%以上増加させる(日本銀行の「物価安定の目標」+1.5%)
事業場内最低賃金事業計画期間において毎年、事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準とする。事業場内最低賃金は補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金を指し、事業場が複数ある場合はその中で最も低くなる事業場のものを用いる
一般事業主行動計画従業員21名以上の場合、交付申請時までに次世代育成支援対策推進法に基づく有効な一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に公表する

②の目標値は交付申請時までに全従業員(または従業員代表者)と役員へ表明し、交付申請では指定様式「賃金引き上げ計画の表明書」を提出します。④は掲載までに2週間程度を要するため、早めの着手が要ります。

これらに加えて、省力化指数(設備導入で削減される業務時間の割合)を計算すること、投資回収期間(投資額÷(削減工数×年間稼働日数×人件費単価+増加した付加価値額))を根拠資料とともに提出すること、基準年度と比較して付加価値額が増加する計画であること、オーダーメイド設備等の導入であること、金融機関から資金調達する場合は金融機関による事業計画の確認書を提出することが求められます。なお、1人当たり給与支給総額の「対象となる従業員」が0名の事業者は応募できません。

未達のときは補助金返還がある

採択されて設備を入れれば終わり、ではありません。

未達の内容返還額の考え方
1人当たり給与支給総額+3.5%が未達(補助金交付額−補助上限引き上げ額)×(1−達成率)。年平均成長率が0以下の場合は全額返還
事業場内最低賃金+30円が未達補助金額を事業計画年数で除した額(毎年3月末時点で判定)
大幅賃上げ特例(+6.0%/+50円)が未達補助上限の引き上げ額分

返還が免除される場合もありますが、免除の条件は未達の内容ごとに別々に定められています。ひとまとめに「赤字なら免除」と読むと、実際の条件から外れます。

未達の内容免除される場合
1人当たり給与支給総額+3.5%が未達付加価値額が増加しておらず、かつ企業全体として事業計画期間の過半数が営業利益赤字の場合など
事業場内最低賃金+30円が未達付加価値額が増加しておらず、かつ企業全体として当該事業年度の営業利益が赤字の場合など

いずれも、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合は返還を求められません。見る期間が「事業計画期間の過半数」と「当該事業年度」で違うため、1期だけ赤字だったから免除される、という条件ではありません。なお、再生事業者は基本要件未達の場合の返還要件が免除されます。

賃上げ目標は、自社の利益計画から逆算して無理なく払い続けられる水準かを先に確かめておくと安全です。

第8回の主な変更点|「基準年度」と「足下の賃上げ」

第7回から第8回にかけて実務への影響が大きい変更が入り、第7回向けの資料をそのまま参考にすると誤ります。

項目第7回まで第8回
基準年度の定義応募申請時の直近の決算期補助事業が完了した日を含む事業年度の決算期
「足下の賃上げ」(規定なし)審査で評価する(審査基準に注記を新設)
事業実施期間交付決定日から18か月以内(採択発表日から20か月以内)交付決定日から17か月以内(採択発表日から19か月以内)
事業場内最低賃金引き上げ加点2025年7月と比較・63円以上2026年6月と比較・55円以上

変更1:基準年度が「補助事業の完了年度」へ移りました。 労働生産性のCAGR+4.0%、1人当たり給与支給総額のCAGR+3.5%、付加価値額の増加は、いずれも基準年度を起点に判定します。比較の分母が「申請時点の実績」から「補助事業が終わった時点の実績」へ移り、補助事業期間中に実施した賃上げは分母の側に取り込まれます

「足下の賃上げ」は本制度だけの話ではなく、新事業進出・ものづくり補助金・成長加速化補助金にも共通して入った審査軸です。「いつの時点の賃金から評価が始まるのか」という時間軸の考え方は、3制度比較の記事で図解していますので、詳しくはそちらでご確認ください。

変更2:「足下の賃上げ」が審査対象になりました。 審査項目に、補助事業完了後の基準年度から最終年度までの賃上げ率に加えて、設備の導入といった補助事業の完了を待たずに実施する「足下の賃上げ」を評価するという注記が新設されました。応募申請時の直近決算期から基準年度までの1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が物価上昇率を上回る程度の賃上げが達成されない計画は、審査上大幅に不利になると明記されています。足下の賃上げは採択後から交付決定までの間に従業員へ表明することが必須で、補助事業期間中の賃上げ実績はモニタリングの対象です。

変更3:事業実施期間が1か月短くなりました。 交付決定日から17か月以内に、契約(発注)から支払・実績報告まで終える必要があります。納期の長い設備ほど、交付決定後すぐ動ける準備が要ります。

第8回の一部資料は準備中です:第8回の応募申請の手引き・電子申請マニュアル(応募申請)は準備中です。事業計画書の参考ガイド・参考様式も第8回版は公表されておらず、公式サイトに掲載されているのは第7回版と同一のファイルです。準備に着手する前に、公式サイトで最新版を取得し直しておくと、作り直しを避けられます

申請の流れとスケジュール

項目期日
公募開始日2026年8月18日(火)
申請受付開始日2026年9月中旬(予定)
公募締切日2026年10月中旬(予定)
採択発表日2027年2月上旬(予定)
交付申請の期限原則、採択発表日から2か月後の日
事業実施期間交付決定日から17か月以内(採択発表日から19か月以内)
実績報告補助事業完了日から30日を経過した日、または事業完了期限日のいずれか早い日まで
効果報告事業計画期間1年目の終了後、最初の4月から5年間・毎年
日程は確定前です:申請受付開始日・公募締切日・採択発表日は、いずれも(予定)です。確定した日程と締切の時刻は、事務局サイトの公表でご確認いただけます。

図4:応募から入金・報告までのタイムライン

年の目安
2026年 2027年 2028年
公募開始
2026年8月18日(火)
申請受付開始
2026年9月中旬(予定)
公募締切
2026年10月中旬(予定)
審査・採択発表
2027年2月上旬(予定)/書面審査、案件により口頭審査
研修動画の視聴・
交付申請
原則、採択発表日から2か月後の日まで(2027年4月上旬までの目安)
交付決定
この通知までは発注・契約・支払をしない
事業実施
(契約・納品・支払)
交付決定日から17か月以内(採択発表日から19か月以内=2028年9月頃までの目安)
実績報告・現地調査
補助事業完了日から30日を経過した日、または事業完了期限日のいずれか早い日まで
補助金額の確定・
精算払い
実績報告と現地調査を経て確定したのち入金
効果報告
事業計画期間1年目の終了後、最初の4月から5年間・毎年

棒は工程の順序を示す模式図で、長さは期間の比率ではありません。時期は各行右の日付で確認してください(「予定」「目安」は本記事執筆時点の公表情報・逆算にもとづきます)。

申請から報告までの流れは次のとおりです。

  1. カタログ注文型の製品カタログを確認する
  2. GビズIDプライムアカウントを取得する(電子申請の前提。発行に一定期間を要するため最優先)
  3. 補助事業の実施場所を特定する(交付申請時点で建設中・土地のみ確保は対象外)
  4. 設備・システムを検討し、参考見積書・カタログ・仕様書等を取得する(この段階で発注はしない)
  5. 事業計画書(その1・その2・その3)と決算書類等をそろえ、電子申請システムから応募する
  6. 書面審査(案件により口頭審査。ソフトウェア投資・システム開発等、書面で計画詳細を理解しにくい案件が中心)
  7. 採択発表研修動画を視聴する(確認テストを含む)
  8. 交付申請を行う(見積依頼書・見積書・賃金引き上げ計画の表明書・不動産登記事項証明書等・研修動画の修了証を提出)
  9. 交付決定を受ける
  10. 契約(発注)→納品→検収→支払(必ず交付決定の後・事業実施期間内)
  11. 実績報告を提出する → 補助金交付額の確定にあたり、中小機構・事務局による現地調査を受ける(補助対象設備や証憑類を確認できない場合、その金額は補助対象外)→ 補助金額の確定後、精算払い
  12. 効果報告を提出する(上表のとおり5年間・毎年。事業場内最低賃金の確認のため賃金台帳の提出を求められる)

つまずきやすいポイント7つ

  1. 交付決定前に発注・契約・支払をしてしまう(対象経費の章のとおりです)。応募段階の参考見積は事前着手にあたりませんが、その延長で発注書を出すのが典型です。交付決定通知まで、お金は1円も動かさない
  2. 相見積の基準を「50万円超」と誤解する。交付申請では、契約先・発注先1者あたりの見積額の合計が50万円(税抜)以上の物件等に、同一条件による相見積が原則です。「超」ではなく「以上」です。
  3. 実施場所が固まっていない。自社所有地でない場合は、交付申請までに所有権または使用権が申請者へ移転している必要があります。
  4. 従業員20人と21人の境界を見落とす。補助上限額が1,500万円から3,000万円へ倍になると同時に、21名以上は一般事業主行動計画の公表が交付申請までに必要になります(補助額の章と申請の条件の章で説明しています)。
  5. 研修動画の視聴を後回しにする視聴しないと採択が無効になり、修了証は交付申請の共通提出書類です。
  6. 汎用設備を単体で導入する計画になっている。記事の冒頭で示した判断の順序でいう4の構成、つまり汎用機やパッケージソフトを1つ買うだけの計画は対象外です。
  7. 効果報告を軽く見る。未報告や虚偽報告は返還の対象になり得ます。申請の時点で「5年間つきあう制度」と捉えておくと安全です。

なお、事業計画の作成を外部に支援してもらう場合は、支援者の名称・報酬額・契約期間を申請画面に必ず記載することになっています。記載がないことが明らかになった場合、虚偽として不採択・採択取消・返還・公表の対象になります。公募要領は、作業量とかけ離れた高額な成功報酬を請求する業者や、申請代行を主たるサービスとする業者への注意も促しています。

まとめ

  • 一般型の対象はオーダーメイド設備まずカタログ注文型の製品カタログを確認してから検討する
  • 補助上限額は常勤従業員数で決まり、5人以下750万円〜101人以上8,000万円。補助率は中小企業1/2、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者2/3
  • 2つの特例(大幅賃上げ=上限額アップ/最低賃金=補助率アップ)は事実上併用できない
  • 条件は労働生産性+4.0%・1人当たり給与支給総額+3.5%・事業場内最低賃金+30円。未達なら補助金返還がある
  • 第8回の最重要変更は基準年度の定義(応募申請時の直近決算期→補助事業が完了した日を含む事業年度)と「足下の賃上げ」の審査反映。事業実施期間も17か月へ短縮された
  • 最大の落とし穴は交付決定前の発注・支払。決定通知まで動かさない
省力化投資は、補助金があるから始めるものではありません。人手が足りない工程を、機械と仕組みでどう埋めるかが先にあって、その資金調達の一手段として補助金がある。この順番で組んだ計画は、審査でも実務でも強くなります。

他の制度と見比べたうえで決めたい方は、補助金3制度の選び方|新事業進出・ものづくり/省力化/成長加速化を比較もあわせてご覧ください。

今すぐできる小さな一歩:「いま最も人手を取られている工程」を1つ書き出し、その工程に1日あたり何時間かかっているかを書き足してみてください。この2行が、省力化指数の計算にも、投資回収期間の試算にも、事業計画書の書き出しにも使えます。最新情報は事務局サイト(一般型 公式ページ)でご確認いただけますし、計画の組み立てに迷われた際は、樫乃屋でも初回相談を無料で承っております。

第8回の準備は「設備選び」より先に「工程の棚卸し」から

一般型で問われるのは、設備そのものよりもどの工程を、どれだけ省力化するのかという根拠です。「自社の投資はカタログ注文型と一般型のどちらか」「省力化指数や投資回収期間をどう出すか」「賃上げ計画は無理なく続けられるか」。こうしたご相談に、工程の整理から事業計画づくり、経費計画、採択後の報告まで、初回のご相談は無料で伴走いたします。

無料で相談する

※本記事は2026年8月23日時点で確認できる公式情報に基づく解説です。金額・要件・日程・対象経費は改訂される場合があるため、実際の申請前には必ず最新の公募要領および公式サイト(中小企業省力化投資補助金 公式サイト一般型 公式ページ一般型 資料ダウンロード)をご確認ください。本記事は制度理解を目的とするもので、補助金の採択・支給を保証するものではありません。